おれんじ・ちょこれーと



ダッーーーー、シュ出来ませんでした。

何で掴まんねんっ!ウチッ!
ってか、何でそないに腕長いんよー!!


「もう、離さないって言ったろーが。」


鋭く、険のある瞳に捕らわれて思わず足がすくむ。悠は見かけによらず怖いんや。と思い返していれば悠の冷たい指先が頬に触れた。


「っ、」

「ごめん。」


優しく、もう枯れた涙の跡を拭うようにそっとウチの頬を指が滑る。
冷たいけど、熱くなった頬にはちょうど良い。


「不安にさせてごめん、あいつとは本当に何にもないから。だから、別れるとか言うなよ……」


切なげに弱々しく淡い光が揺れて、此方を窺う。もう、しょーないな。


「悠。」


名を呼べば、返事が返ってくることに嬉しさを感じて。
悠がウチの頬に滑らしていた指に自分の指を絡めて冷たくなった指先を温めるように包む。
  

「もー、えーよ。ウチ、怒ってないから。ごめんな」


恥ずかしくて、少し俯き気味に言えばスルリと悠の指がウチの手から抜けていって。


「あ。」


声を漏らした瞬間、別の温もりに包まれる。
それは、この世界で一番確かな温もりで。




「好きだ、蜜柑」




耳を擽る、心地好い音。
この腕の中が自分の居場所だとわかる。



悠の服をキュッと掴んで、微笑む。