海の花は雪

何度か改築が行われた学校の中で、唯一当初のまま残ったのが、この建物らしい…

古びたドアを開けると、小さなクツ置き場があり、さっき見た部屋になっていた。

用務員さんは、押し入れから座ブトンを出すと、丸いちゃぶ台の周りに置いて「どうぞ」とすすめてくれた。

自分達は顔を見合わせ、ちょっと遠慮がちに部屋に入ると座ブトンに座った。

改めて部屋を見回すけれど、やっぱり殺風景だ…

用務員さんは作業着の上着をハンガーにかけると、台所に向かった。

作業着の下は白い半そでのシャツを着ていて、どこか品のいい感じがただよう…

この学校に来て何年も経つのに、用務員さんの存在を気にかけた事がほとんどなかった…

そう言えば基本的に、名前すら知らない事に気づく…


「あの〜突然お邪魔してすみません。私、児童文学作家をしています、山形と言います」

山形さんが自分達には見せない大人な顔をして、胸ポケットから名刺を取り出すと、用務員さんに渡した。