海の花は雪

       †

古めかしい木の扉をノックしてみたが、何の反応も返ってこなかった。

「…いない、みたいだね…」

ちょっとガッカリしながら、自分は横の二人の方を見ると深谷君は、まぁ仕方ないという顔をしていた。

一方、山形さんは多大な期待を裏切られたようで、ガッカリとうな垂れている…

用務員さんを待つ間…自分は小さなプレハブで出来た用務員室の周りを歩いて、体育館に面した窓のある方へ回ってみた。

前に自分が声をかけられたのは、この窓からだったのを思い出す…

体育の帰り道に、窓の向こうから初老の男性が手招きをしていたっけ…

その窓は、今はカーテンが閉められていて、部屋に人影はなく…網戸から風が入ると、レースのカーテンがゆれて中が見えた。

八畳ぐらいの畳の部屋は、ちゃぶ台とタンスが置いてあるだけの、殺風景な部屋だった。

曇りガラスの建具の向こうは台所らしく、煙突のようなものが外へ伸びているのを見ると、旧式のお風呂もあるっぽい…