海の花は雪

「実はさ〜本の続編のしめ切りが、迫っているんだよね〜」

「は?」

いきなり現実的な話をされて、出かかっていた涙が引っ込んだ…

「だから、続き続き。冒険編は、あんな引きで終わらせちゃったでしょ?なのに最近、あの夢をパッタリと見なくなっちゃって、困ってたんだよ〜」

はははと笑って、助けに舟とはこの事だね、と山形さんは明るく言った。

「山形さん…山形さんの事情は良く分かりました…すみませんが、これを見てもらえますか?」

眉間にしわを寄せた深谷君が、スルスルと左手首に巻いていた包帯をほどくと、手の甲を目の前にいる山形さんに向かって差し出した。

「!!…これは…」

さすがの山形さんも言葉を失い、手首に生えたウロコを食い入るように見入った。

確認が済むと、深谷君は器用に包帯を巻き直して、小さなため息をつくと話し始めた。

「…電話でも話しましたが、消えないんです…消す方法を知りませんか?」