海の花は雪

あれれ?という顔をした山形さんが、何度も同じ呪文を唱えてみる…

が、何も変化は訪れなかった。

じょじょに山形さんが焦り出したのが、手に取るように分かった…

ああ〜どうなるんだろう…

「あの…」

深谷君が、しびれを切らして口を開いた。

「自分がやっても、いいですか?」

「ああ!!そうだった、そうだった!忘れてたよ〜ぜひお願いするよ!助かるな〜」

山形さんは照れ笑いをくり返しながら、深谷君に手帳を渡した。

その背中は、どこかうな垂れている…

そんな様子は気にも止めず、深谷君は落ち着いた口調で呪文を唱えた。

「゙パ・ソル・ダイエ・レネフ・ラルス゛」

ポウ…と青白い光が壁にともると、扉の形に光が浮かび上がり始めた。

「さすが、深谷君!」

大成功に感激して、自分は深谷君を抱きしめた。

やれやれといった感じで深谷君は、ため息をつくと山形さんに手帳を返した。