海の花は雪

しかし、自分達が脱出した時は、この部屋は海水でいっぱいになったハズ…

なのに今は、ぜんぜんそんな痕跡はなく、水滴のかけらも見当たらなかった。

目の前をトボトボと、深谷君が歩いて階段を下りて行く…

窓の向こうをのぞき込む姿は、信じられないといった感じだ…

自分も何が起こったのか、分からなくなっていた…

二日前に来た時の方が、むしろ落ち着いていた気がする…

「あの…」

そんな中、深谷君が山形さんのはしゃぎっぷりを止めるべく、口を開いた。

「何〜?」

「…ここに長い時間いるのは、まずいです…早く戻らないと…」

「あ〜そうだよね、ごめんごめん、つい嬉しくて」

山形さんは子供のように舌を出すと、頭をかいた。

「いったいどうやって、戻るんですか?」

自分は、立っていた一段高い所から山形さんを見下ろすと、重要な質問をした。