海の花は雪

「こんにちは先生。今、深谷君ここに来なかった?」

「来たわよ〜何か親戚のお兄さんと一緒に来て、めずらしい本が書庫にあるって聞いたらしくて、ぜひ見せて欲しいって…」

先生は、後ろにある書庫を指して言った。

「サンキュー先生、オレも見せてもらってもいい?」

最上級の笑顔を向けながら、拝むポーズで頼んでみる。

「いいけど、昼寝するの?」

「今日は調べ物〜」

いそいそとカウンターの中に入り、書庫のプレートがかかっている扉を開けて、しっかりと扉を閉めると鍵をついでにかけた。

「…深谷君、山形さん、いますか?」

書庫の中は明かりもつけず、薄暗いままだった。

一つある窓には、レースのカーテンが閉まっていて外からのぞかれる事はない…

「こっちこっち、フレア!ごめんね〜待ってなくて」

山形さんの陽気な声が、本棚の向こうから聞こえてきた。