海の花は雪

長い通話を終えて、深谷君は受話器を元に戻した。

腕がしびれたらしく、軽くもんでいる…

戻って来たテレフォンカードは、いくつか穴が空いた状態で出て来た。

深谷君はそれを見ながら、お母さんに感謝をしているようだ。

えらいな〜深谷君…

「…お疲れ深谷君、大丈夫?」

ねぎらうつもりで、深谷君に笑いかけた。

「うん、大丈夫…上手くいって良かった…」

「うん、深谷君のおかげで、作戦大成功だったね!」

満面の笑みを浮かべて、深谷君の肩に手を置いた。

「…ハルのおかげだよ…」

「いやいや〜それより深谷君、良くあれだけ色々思い出せたね〜」



電話ボックスを出て向かった中庭は、校舎の影になっていた。

相変わらずセミが鳴いている…

石のベンチに腰かけて、ぬるくなった飲みかけの紅茶を口にすると、先ほどの電話でのやり取りを思い出してみた。

「ハルこそ…゙海の花は雪゛って何の事?」

ジッと、黒目がちな瞳が問いかけてきた。