海の花は雪

隣で受話器に耳を寄せていた深谷君と目が合うと、自分は親指を立てて見せた。

「ありがとうございます!弟に代わります」

少し興奮しながら、深谷君に受話器を渡した。

落ち着いた様子で深谷君は受話器を耳に当てると、打ち合わせ通りのセリフを口にした。

「…もしもし?片山先生ですか?」

『もしもし、僕が片山です。僕の本を読んでくれて、ありがとう』

「…先生、ボクこわいんです…」

いいぞ〜深谷君!一本調子の話し方が、逆にリアリティをかもし出している、ような気がする…ような気がする…

「…先生お願いです。一度会ってもらえませんか?」

相手に考える余裕を与えず、深谷君が一気に本題に入った。

現役小学生…しかも病弱ときて、落ちない児童文学作家がいるだろうか?いや、オレの計算では九割方…