海の花は雪

「え〜オレ妹しかいないから、弟欲しかったんだよね〜」

自分もバックを肩にかけると、歩き出した。

「深谷君、兄弟は?」

「一人っ子…」

「へ〜そうなんだ〜」

自分達は電話ボックスが並んでいる所まで来ると、一つの扉を開けて中に入った。

むわりと、こもっていた熱気が外へ逃げて行く…

今の時間は、ありがたい事にちょうど木の影の下で、日差しをさえぎってくれていた。

自分はバックを電話帳の上に置いて、ハードカバーの本と、テレフォンカードを取り出した。

すると、スッと目の前に五百度数のテレフォンカードが差し出された…イルカが海を泳いでいる写真の柄だ。

「これ使って、ハル…」

「え?いいの?」

「うん…母さんに持たされているから、あと五枚あるし…」

「うわ〜なんか愛を感じるな〜ありがとう、じゃあ使わせてもらうよ」

母の愛のパワー入りテレカを一つ拝んでから、挿入口に入れると、受話器を肩と耳の間にはさんで、出版社の書いてあるページをめくった。