「はははは…先生、ご心配なく。お休みなさい」

僕は笑ってごまかした。

「お休みなさい、山形さん。ほどほどに、お願いしますよ〜?」

ははは…と、お互い大人な笑みを浮かべると、先生とはそこで別れた。




「いい夜だな〜あ、天の川…」

ハル君が自転車を引きながら、満天の星空を見上げると言った。

「この辺りは空気が澄んでいるんだね〜星が良く見えるよ」

海岸線のゆるやかなカーブが、月明かりに映し出され、夜の海が規則正しい波音を立てている…

僕らは誰も口を開かずに、夜空を見上げながら、ハル君のアパートまで歩いた。

…今日一日で、いろんな事があったなぁ…



ハル君のアパートにたどり着くと、先生の予想に反して僕らは、倒れ込むように眠りに着いた…

セミダブルのベッドに三人で、ぎゅうぎゅうになりながら…

深谷少年が、目覚まし時計をセットしている姿を最後に、僕の意識はプツンと音を立てて、深い眠りに落ちた。

はるか昔の記憶の海に、どこまでも、どこまでも…