海の花は雪

僕の言葉を合図に、深谷少年が目の前の白い扉を数回ノックした。

すると静かに扉が横へスライドして行き、新たなる空間が現れた。

「おぉ…これが例の部屋ですか…」

感心しているのは高田さんで、その現れた白い箱のような部屋を眺めている。

高田さんも、僕の本を読んでくれたようだ…

「では皆さん、入って下さい」

さすがに五人全員が入ると、天井が低めに出来ているせいか、せまく感じる…

「…戸川先生、これが呪文になります」

僕はもう一枚、今回一番重要な、海をくぐる呪文が書かれたメモ用紙を戸川先生に渡した。

先生は落ち着いた様子で微笑むと、その呪文をジッと見て言った。

「…深谷君…お願いします…」

何のへんてつもない白い壁に向かって立っていた深谷少年は、ふり返るとうなずいた。

一瞬その場の空気が、張りつめたものになる…