海の花は雪

「…では、深谷君は私と一緒に…」

高田さんが嬉しそうに笑うと、それぞれ書庫を目指して行動を開始した。



「…そう言えばハル君、深谷君のお母さんには、了承取れたの?」

「ええ、お母さんは最後まで心配してましたけどね。何とか一泊、うちに泊まる事を納得してくれましたよ」

話しながら図書館の裏手に回ると、書庫の裏口を目指して歩いた…

図書館は半島の端っこに建てられていて、学園をぐるりと囲むように植えてある常緑樹のすき間から、青い海がのぞき見えた。

「深谷君は今日、生島君家にお泊りなんですか?」

「そうなんですよ〜戸川先生。ハル君がもしもの時を想定して、夕方までに帰って来れなかった場合、お母さんが心配するだろうからって…」

「前、ヤバかったんですよ。海とこっちの時間の違いに慣れないと、本当、浦島太郎状態ですから〜」

のんびりと説明しながら、ハル君は伸びをした。