結婚して、4年とちょっと。


二人が大好きだったクリスマスに、涼はこの世からいなくなった。


胃ガンだった。


食欲が無いのも、前より貧血がひどくなったのも、気づいていた。


でも、心のどこかで『涼は大丈夫』と思っていた。


だから、食欲が無いのは仕事のストレスのせいだと、もともと貧血持ちだから大丈夫だと、自分に言い聞かせておいた。


それがいけなかった。


症状がひどくなって一度検査を受けようと言い出した頃には、もう取り返しのつかない状態になっていた。


お医者さんの言葉が忘れられない。


『お気の毒ですがー』


『末期です』


この言葉を聞いたとき、涼もわたしも事実を認めることができなかった。


涙は出なかった。


当然だよ。


だって涼が末期ガンだなんて信じれないから。


でも、延命の話やお金のことを聞いたりしていると、次第にこれが現実なんだと認めるようになっていった。


だけどそれは、涼の「死」が近付くことを、認めることでもあった。