タイトルなしの物語



「気持ち良い!朱莉も入れよ!」


紫苑がそう言って、プールサイドにいる私の所に来たけど、私が動くはずがない。


「紫苑!競争しようぜ!」


たくさんいる小・中学生の間をきれいにすり抜けて太陽が来た。


「よっしゃ!何で?クロール?平泳ぎ?」


すっかり本気モードの太陽と紫苑。


私はその光景を見てるだけで良かった。


「競争しておいでよ。私、見てるから」


「でも…」


紫苑はまだ渋っている。


そっか、昔は紫苑もこんな性格だったんだ。