タイトルなしの物語



「檜垣もお土産買いに来たの?」


「はい…祖母には街の物よりこういうのが良いかなって」


私はさっき見つけたウィンドチャイムを見せた。


「いいねぇ…私はこれ、頼まれてて」


そう言って先生は袋を見せた。


「…ラーメン」


「そう。他には何もいらないからって両親に頼まれたんだよ」


うん、先生のご両親なら分かる気がする。


「あ!今納得しただろ?」


うわ、先生鋭い。


「そんなことないですよ…」


私は慌てて否定した。


「嘘だな。あ…大森が待ってる」


先生に言われてその方向を見ると、瑞恵が私に気づいて手を振っていた。


「じゃあ先生、おやすみなさい」


「ちゃんと寝ろよ」


そう言って私と先生は別れた。