タイトルなしの物語



「…?」


瑞恵は涙目のまま不思議そうに俺を見上げてる。


「大切な恋人…」


俺は照れ隠しにうつむいて言った。


「え…」


瑞恵は明らかに動揺してる。


俺は普段こんなこと言わないからな。


「そういえば…」


涙がおさまった瑞恵は話を切り出した。


「紫苑はどうして私のこと好きになったの?」


普段そんなこと聞かない瑞恵。


今度は俺が動揺した。


「いやいや…」


「ごまかさないで!」


そんなに言われたら仕方ないか…。


「分かったよ…」