例え離れても






恥ずかしくて、顔を上げることなどできなかった。


なんで?はっ?
って思うかもしれない。だけど、あたしは消極的で、彼氏と当たり前のように話したり、デートしたりすることなどなかった。



そしてその次にまわってきたのが、颯馬くんだった。


ひどいことをしたという思いも少しあったが、そんなのすぐにふっとんだ。何よりも、手を繋げたことが嬉しかったから。



そして、颯馬くんには、新しい彼女ができていたから。



重貴くんに対して、しつこいという思いもあったけど、この時は、嬉しいという思いしかなかった。


重貴くんと初めて繋いだ手。


こんなにも近くに感じたのも、初めてだった。




体育祭当日は、重貴くんはまわってこなかった。ちょっと残念という思いがあったが……。








けど、それからは喋ることもなく、もちろんメールもなく……。
普通の生活を送る毎日だった。