例え離れても






重貴くんとは、メールは途切れ、ゲームのなかで話していた。


学校で直接話すなど、恥ずかしくてできなかった。


むしろ、二人きりでいることや、一緒に遊ぶことなどは考えられない話で……。
でも、どこか出掛けたときには、ちゃんとお土産も買ってきた。


そして、ある日めったに話しかけてこない重貴くんが、


「これ、ペアのやつやって。まぁ受け取ってよ。」


と、向こうの友達にもらったペアのキーホルダーを渡してきた。
あたしたち以外のカップルも、もらっていて……。


あたしがもらったのは、ハートの形をしたキーホルダーだった。
まわりにはラインストーンのようなものがついていて、ハートの中には鍵穴があった。


本当のことはわからないが、多分、重貴くんが持っていたのは、その鍵穴に入る大きさの鍵がついたキーホルダーだったと思う。