それから少しして、重貴くんからも好きだと言われた。
だが、あたしは付き合う気などにはならなかった。
それに、颯馬くんを傷つけたという罪悪感もあったからだ。
重貴くんだからという理由ではない。誰に告白されても、あたしは必ずこう言っただろう。
「ごめん……。付き合うとかよくわからへん」
と……。
恋はいいことなんかないと思った。
始まりには必ず終わりがある。永遠などない。
相手を傷つけ、傷つけられ、立ち直れない時だってある。裏切りだってあるだろう。
そして、その度に嫉妬や憎みという感情が生まれるのだろう。
もちろん、好きになったら、『失恋』というものがつきものなのだ。
片思いからの失恋、大好きだった彼氏・彼女とのピリオドを打つ失恋。
だからこそ、両思いになるのは、とてもすごいことなのだ。そして、奇跡なんだ。

