『好きな人居ないの?』





…あぁ。確かそんなやつ居たかもしれねぇ…

よく聞かれるけど、そんなやつは居なかった事にしてる。





本気の恋愛なんてするもんじゃねぇ。

辛いだけだ。






───「最っっ低!!」


"バシン!!"




という音と共に、痛みが頬に走る。





「…っ、痛ってぇ…」


女との別れは痛みが付き物。



毎度の事ながら、懲りずに繰り返す。





「これまた派手にやられたんじゃねぇ?」


影で見ていた友達の拓也が笑いながら近付いて来た。



「…まぁな」





酷いとか、最低とか、最悪な男とか思うかもしれないが、俺の付き合う女に好きも愛も、そんな面倒くさい感情はない。




こうやって別れはやって来ても、受ける痛みは外側だけで、中身はちっともダメージを受けない。


そういう付き合い方しか、俺はできなくなっていた。




女なんて所詮道具にしか思えない、最低なやつ。


それが俺。


瞬だ。