全ては朝焼けがくる前に。







初めての出張も、無事終わろうとしたときだった。



取引先の会社から出た直後、
ポツ、と冷たいものが肩に落ちた。



『うわ……』



ザザザザ……



地面に激しい雨が降り注ぎ、アスファルトは真っ黒になっていく。



『松原、走るぞ』



不意に手を握られて、真っ黒なアスファルトの上を走る。



雨に打たれてることなんかより、繋がれた手しか気にならなかった。