発見現場までの道中、中原は害者の身元を聞いた。

「害者の身元は?」

「名前は今田静、17歳。この紅羽学園の生徒です。」

「死因は?」

「屋上からの転落によるものだと。」

「悲惨だわね。せっかく紅羽学園に入ったのにね。」

「そんなにすごいんですか。」

「決まってるじゃない、こんな事を知らないの。馬鹿ね。」

確かに無知な部下である。

「この子ね。」

「はい。結構な美人なのに…。」

「…………。」

中原は無視して手を合わせた。

「争った形跡は無しか。」

「自殺だと鑑識が言ってましたが。」

「あ、そう。私はどうも自殺じゃないと思うんだな。」

刑事の勘である。特にこの女は普通とは正反対の考えと見て捜査する事が多い。