そして私は制服に着替えて更衣室を出た。

更衣室を出たらもう、彼が出ていた。

「ごめんなさい!遅れて!」

それに気付いたのか、壁に凭れ掛っていた彼が、体を起こし私の目の前へ来た。

「大丈夫。女って着替え大変だろ?」

優しい‥‥!

「う、うん」

「んじゃ、行こっか。」

「うん」

私は、恭弥君の隣を歩いた。

「そういけばさ、恭弥君は学校どこなの?」

「俺?成宮学園」

えぇ!?チョー頭いいじゃん!
レベル高い男子校!

「すごい!70以上のとこじゃん!」

「そんなことないよ。ってか、お前もだろ」

あ、そうでした・・・。

「あ、もしかして、お坊ちゃま?」


「あー、普通。普通の家族」

「そっか」

そんなことを話し、電車の中まで来た。

そして入ると、彼は私の腕をひっぱて、席に座らせた。
彼は私の前で吊り革をつかんで立っていた。

「え?恭弥君、大丈夫だよ。」

と私が言うと、

「いいのいいの。女の子だし」

「え。でも・・・」

それでも、遠慮しようとする私に、

「レディーファースト!」

と私に少し顔を近づけてそう言った。

「う、うん」

顔が近くて、軽い返事が出来なかった。

その後、駅を降り家まで歩いた。



「いいの?こんなところまで来てもらって。」

「いいのいいの。男は体力つけないとだし・・」

そしたらたら私だって、弓道で鍛えなきゃだし・・・。

「それは私もだけど」

「男はその倍を鍛えないと」

といった。うー、そういうと、言い返す言葉もない・・・・。


そんなことを話しながら歩き、家も近くなったので私は、


「あ、この辺でいいよ。もう家着くし。」

「そうか。」

「うん。」

「そっか。」

「それじゃあ、また。」

「あぁ・・じゃあ、・・・あ!」

さよならのあいさつをするところで、彼はいきなり何か思い出したようで、

「お前、ケータイ持ってる?」

へ?いきなり?

「うん。持ってるけど。」

「じゃあさ、お前が良ければだけど、メアド交換しよう。」

「え?」

「今日みたいに部活であの弓道場でやるときになったらメールして。一緒にやりたいし」

え!?男の子にそんなこと言われたの初めて…

「え、うん。大丈夫。多分これから先、あそこ使うと思う。学校のとこだと先輩が使うし」

「そっか、じゃ、メールしろよ」

「うん」

「赤外線でいい?」

「うん」

そう言い、お互いケータイを出した。

お互いスマホだった。スマホで赤外線機能があるのが少ない。

実をいうと高校になってケータイを買ったそれまではパソコンでメールをしていた。

「お前、白なんだな」

「え、あぁうん。恭弥君は黒なんだ」

「あぁ。女の子が白のケータイもってるといいよな」

「え。そうなの?他の機器は、ほとんど黒だけど」

「へぇ、ま、お互いケータイの会社一緒だし、白と黒でモノトーンで、俺らなんか気が合うのかもな」

「そうかな」

と私が聞き返すと

「そうだよ」

そして彼は又、にかっと笑った。

そして、お互いメアドをもらった。

「じゃ、メールしろよな。あ、それ以外でもメールしていいからな」

「あ、うん。じゃ、またね」

「あぁ、またな」

そして彼は帰った。途中、こっちを向いて手を振ってくれた。