覚えてるのは、体が異常に痛かったことと、ママのヒステリックに叫ぶ声と、目の前に立ちふさがって私をかばうお兄ちゃんの背中。


傷はたいしたことなかったけど、私たち家族にとって心の傷はひどかった。



「可憐、好きな人、できるといーね?」


有未が小さく笑う。

彼女は私事情を知ってるんだ。


「できるといーね」


私も同じようにわらって見せた。