溺愛の王子様



だけど、見つめてるんだ。
いつの間にか。


自覚しそうになるのを、慌てて否定する。

恐いから、ハマってしまうと、抜けなくなりそうで、恐いから。


そうやって、またひとり悩んでいると。



…あ。


周りなんか関係なく、ただ彼女をまっすぐ見つめている瞳に気づいた。


結綺の隣の席の、山崎栞太(やまざきかんた)。