「窮屈だった、かな。自分のやりたいことができなかったり、苦手なことを素直に苦手だって言い出せなかったり。
楽しい時間は確かに過ごせるんだけど、ずっと一緒にいることはできない感じで」



まっすぐに景を見ることなんかできなくて、あたしは思わず視線を落とした。


西園寺さんを紹介してくれた景に、こんなにもはっきりと話していいのか自信がない。



だけど、変に隠したって、結局それが伝わるだけなんだと思ったら、正直になるしかない。



「ごめん。せっかく紹介してくれたのに。
失礼なこと言ってるっていうのは、十分わかってる」



それでも、恩をあだで返すようなあたしの発言で、景があたしを嫌いになるんじゃないかと不安になる自分もいる。



「じゃあ、俺の場合はどうだ?」


「え?」


「クロ、ずっと食べてるだろ。さつまいも。
それに、俺がエビ食べてても普通に流してるだろ。腹黒い話も容赦なくできるだろ。
1日2人きりでも、お互いに自然体で楽しくいられる仲だって、思うだろ。性格も違うし、合わない趣味もたくさんあるのに、だ」



エビの天ぷらにこだわり続けてた景の手元には、さつまいものタルトの隣に、当たり前みたいにエビの天ぷらの乗ったお皿がある。



さっきまで気持ち悪いなんて言ってたのに、だ。



でも、確かにあたしはそれを止めようとは思わなかった。


もちろん、エビが好きだからなんて理由で景のことを嫌いになれるわけでもなかった。



「いい加減気付け、バカ」