恋の戦國物語


『よく分からないけど、愛が私の前から急にいなくなるわけない!!信じるよ、愛!』

百合の涙声。
信じてくれたんだ――…

「百合っ…ありがとう!!絶対帰るからっ!」

うん…絶対…。
何があろうと、絶対に帰るから――…

『うんっ!戦国時代なんだよね!?生きて帰ってきてよ!無事に!』

百合は何よりもあたしの体を気遣ってくれている。

こんな親友を置き去りにして、この世界で幸せに生きていける訳がない。

「わかってる!」

窓辺から見える景色に、眩しい太陽の光。

『絶対……か……てっ…っ…ね…』

だんだん途切れてくる百合の声。

「百合っ!百合っ!」

『……き…だ……ップープー』

――きれてしまった。

百合の最後の言葉…何を言っているのか何もわからなかった。

急いでもう一度かけ直してみても…もう繋がりもしない。

「…っふぅ…う…」

その場に崩れ落ちて目から大粒の涙がぼろぼろと溢れ落ちる。

本当は大きい声で泣きたくても、人のお城で堂々と泣けるわけがない。


何でここにきちゃったの?
ここに何か得るものはある?
あたし、悪いことした?

何であたしなの――…?



あたしはそのまま、記憶が途切れていった――…