恋の戦國物語


『ップルルル――…』


え…っ!!つ…繋がった…!


ドクドクとなる胸と、汗で湿った手のひら。

「百…合っ…」


でも、何コール待っても出てこない。

やっぱり無理なのかな…。



――すると…。


『――ッもしもしっ!!愛!?』


えっ!?


「ゆ、百合っ!!」


『ちょっと!!何回かけても電話に出ないからどうしたのかと思った!今、どこ!?』


焦っているみたいで声が乱れているけど、確実に百合の声だ――…。

「それがっ…あたし、よく分かんないんだけど…」

それからが出てこない。


この言葉を言ってあたしは戻れる?

今、この瞬間に戻れたとしても戻ってはいけない気もする。

でも、やだっ!!

今は帰るのが最優先だもんっ!!


「っあたし、タイムスリップしちゃって、今、戦国時代にいるの!!」

声を張り上げて懸命に伝える。


『…っ、それ、どういう事!?』

「分かんない!!でも、帰りたくても帰れないの!!」

いつの間にか、頬に涙が伝っていた。


『そんな……』

百合のか細い声が耳にこびりつく。

「百合…」