恋の戦國物語


小十郎のプチ説教に「ごめんごめん」とだけ答えて、政宗に向き直ると「いくよー」とカメラを目の前に構えた。


「な…何をしている」


冷静そうに見えて、ビクビクする政宗。


「とりあえず撮るよっ!はいチーズっ」


「“はいチーズ”?」


――カシャッ

ハモる2人を横目に、あたしは問答無用でシャッターをきった。


「…あ、あやしい音がしたのだが…」


あたしは、口は動いても体は硬直している政宗に手招きする。

小十郎はずっとあたしの後ろから覗いているだけ。

「よかった!綺麗に撮れてる」

画面を見ながら独り言のように呟いた。


あたしの言葉によって、2人の視線は画面の中に。

「ま、政宗様が!」
「俺が…」

画面の中にいる政宗は、きょとんとした顔をしている。

「ね、面白いでしょ?」


2人の反応が可愛くて可愛くて、ついつい笑みがこぼれる。


「よく分からんのだが…。やはりそのような物を持っているということは、恐らく未来から来たのだな」

政宗はそう言いながら、けらけらと笑った。

「辻褄はあうが…うむ、少し貸してはくれぬか」


小十郎はそんなに興味があるのか、あたしがカメラを差し出すとポチポチとボタンを触りだした。

「あ、間違ってデータ消さないでよ」

「でーた?…よく分からぬが気をつける…」



…普段こんなんだと可愛いのに…。