恋の戦國物語


暗かった画面がぱっとつくと、政宗と小十郎はびくっと肩を揺らす。


「うわっ」
「何なのだ、これは!」

それぞれ、まるでカメラを初めて見るような眼差しでカメラを見つめる。

…あ、カメラを見るのは初めてか。

意外にも小十郎まで興味津々なのが、不意に笑えてきた。

「そ、それは食べ物では無さそうだな。生き物か」

あたしの膝を写す画面をおそるおそる、コツコツと指で叩いてみる政宗。

「生き物じゃないよー。これは、ある物を撮る道具。んー、カラクリっていうか、機械っていうもの」


カメラを説明するのは実際にこれが初めてだったから、いざとなると違和感があって伝えにくい。

「…よく分からんがその…かめらとやらを、使ってみてくれぬか」


先ほどから小十郎は、警戒しながら黙って見ている。

…カメラに警戒する人、初めてみた…。

せっかくだから、使ってみようと政宗にピントを合わせる。


すると、近すぎてドアップが写り、それを見ていた小十郎は、わ、と小さく声を上げた。


「政宗、もうちょっと離れて」

何気なしに政宗に離れてもらうと、後ろから低い声がする。

「おい。政宗様に命令するな」


小十郎が毎回毎回突っかかってくるため、愛はイラッとくる。


――仕方ないでしょうが!…と。