「あたしは…愛。相楽、愛」
伊達政宗は目を閉じ、頷く。
「愛か。良き名だ」
恐らく、小十郎はあたしが何者かを知りたいのであろう、あたし達をチラ見する。
「あ、ありがとう…ございます」
ぼそっと礼を言うと、伊達政宗は頭から手を離し目を細める。
「俺は、そなたともっと話がしたい。おい、小十郎も聞かせてもらっていくか?」
伊達政宗は机にある書類などをまとめて本に挟むと、部屋を変えるよう小十郎に話した。
「や、俺は…、政宗様に傷を負わせないように見守る使命をつとめるのみです故、同行致します」
小十郎はあたし達から視線をそらすと、そそくさと襖を開き、道をあける。
頬をほんのり赤くしている小十郎にぽつりと言葉を漏らした。
「…ツンデレ…?」
それが鮮明に聞こえたのか、小十郎はあたしを睨む。
あ、ツンデレって言葉、知ってた…?
びくっと体を跳ねさせると、小十郎と、この様子を知らない政宗が声をハモらせてあたしに聞き返す。
「「ツンデレとは何ゆえだ?」」
…あ、知らなかったのね。
