「小十郎、この娘に惚れたか?気にするでない。そう嫉妬をするな」
ははっと笑う伊達政宗に、小十郎はばっと怒った顔をする。
「そんな感情は微塵もありませぬ!第一、間者かもしれないというのに…」
小十郎は、あたしを間者扱いにして、ぶつぶつ言いながら少し俯くと、伊達政宗が横切ってあたしの顔をまじまじと見る。
「俺はそなたの瞳を見ればわかる故。何があったか話を聞かせてもらおう」
「…っ政宗様!!」
小十郎は心配そうに眉間にしわを寄せながら力強く名前を呼ぶ。
…そんなに眉間にしわを寄せると、かっこいい顔がしわだらけになるよ…。
ぱっと脳裏にでてきた言葉に、少し吹き出してしまい口元を覆う。
「小十郎、心配ない。俺はこの娘を信じる。」
小十郎は黙ったままで、ただただあたしを敵視するばかり。
「あぁ、名を聞いていなかったな。俺の名は、政宗。伊達政宗だ。そなたは何と申す」
…あたしのいる時代なら誰が見たってあなたが伊達政宗って分かるわよ。
心の中でツッコミを入れる。
伊達政宗は、あたしの髪から手を離すと、意味ありげにゆっくりと頭を撫でてくる。
…全然あたしに警戒してない…。
