もたもたしていると、小十郎がこちらを見つめ眉間にしわを寄せる。
「し、失礼します」
そそくさと入って襖をしめると、さっと小十郎の隣に並んで正座をする。
俯いているため、目線が下になるから伊達政宗の顔が見えない。
なかなか顔をあげられないとき、伊達政宗がこちらに向かってくる足音が聞こえる。
…と同時に、伊達政宗の指先が髪に触れる。
「っ…」
思わず顔をあげると、目の前にいる黒い眼帯をつけた男の人の顔が近くにあった。
…――この人が“あの”独眼竜、伊達政宗。
肩にあたるかあたらないかの黒髪に、緑に黒がかかった左目の瞳。
薄く綺麗な唇をしたこの男は、小十郎に負けないほどのイケメン。
…何で戦国武将ってこんなにイケメンなの?
あたしは少し顔を赤らめながらも、じっとその瞳を見つめる。
伊達政宗は目線を外さないまま、軽く微笑む。
「ほう…何とも可愛らしい女子(オナゴ)」
瞬時、小十郎のため息が聞こえると、伊達政宗は小十郎を見て目を細めた。
