恋の戦國物語


小十郎も、意味が分からずいらいらしているのか鋭い目付きでこちらを睨む。

信じてないけど…あたしは一番聞きたくて聞けなかったことをポツリと口にする。


「…今、何年…?」


真剣に見つめてくる愛に、頭でも打ったかと言わんばかりに目を見開く。





「何をいっている。今は1578年だ」





……。




「ちょっ!冗談やめてよ!」

「大声を出すな…!」

あたしは、小十郎の思わぬ発言に勢いよく立ち上がるが、今にも矢を放ちそうな小十郎に足が怯む。


「貴様が何を言っているのか俺には何もわからん。…愛と言ったな?米沢城に着いてきてもらうぞ」

じろじろと全身を舐め回すように見る小十郎に右腕を掴まれ、言われるがまま米沢城へと引っ張られる。


意味がわからないのは、こっちよ…!


小十郎は、さっきから振り返るなりじっとこちらを睨み続けている。


「…何。まさか伊達政宗に会わせるなんて言わないでしょうね」


掴まれている小十郎の腕を振り払い、目線を合わせないように呟く。

ちょっと間が空き、小十郎はすっと立ち止まる。