「ミソラちゃん、これ弾いてみて。」
お母さんが楽譜を持って、私にしゃべりかける。
お母さんは、世界的に有名なピアニストの妃 亜真里 (きさき あまり)。
ついでに言うと、お父さんは世界的に有名なヴァイオリニスト、一葉 高尾 (かずは たかお)。
私は、その二人の遺伝子を受け継ぐ娘である、一葉 深宇宙 (かずは みそら)。
私の他には、
二人の遺伝子を受け継ぐ兄たちと、
弟がいる。
私と5歳、年の離れた兄の哉翔(かなと)。
私と3歳、年の離れた兄の美弥(みや)。
私と1歳、年の離れた兄の乃伊(のい)。
私と1歳、年の離れた弟の爽(そう)。
お母さんは、
妃 亜真里の名前でピアニストの活動をしているため、旧姓のままだ。
しかし今年になって、
お母さんが36歳になったのに伴い、
男の子の赤ちゃんを身ごもった。
なので、
今はピアニストの演奏活動はしていない。


