「綺麗だな。星があんなに近いよ。」

龍也先輩の声にあたしは空を見上げた。

圧倒的な星の美しさと、あたしたちをほのかに照らす幻想的な蛍の光に目眩を起こし、足元がふらりと揺らいだ時龍也先輩があたしを抱き寄せてぎゅっとそのまま強く抱きしめた。

その腕が震えている気がするのは気のせいなんかじゃない。

お母さんの話を聞いて、龍也先輩の中で何かが変わろうとしているのは明らかだ。

「龍也先輩…ずっとこうして抱いていて。あたし…怖い。」

「聖良?どうした?」

「龍也先輩が遠い人になってしまうのが怖いの。」

「遠い人?何を馬鹿な事を…。」