「せんぱぁい…まだ着かないんですかぁ?怖いんですけどぉ~~。」

半泣きになりながらエンジンに負けないように大きな声で叫んでみると、返事の代わりに先輩の腰に回して硬く握り締めた両手にそっと手を添えてくれた。

触れる部分から先輩が
『大丈夫。心配するな。』
と言っているのが伝わってきて何となく心が安堵したけれど…。

良く考えたらハンドルから手を離していませんか?

大丈夫なの?

ちょっとっ!

龍也先輩???

プチパニックになっているあたしを余所に、龍也先輩は上機嫌でアクセルを吹かした。

うわあぁんっ!怖いよぉ。

龍也先輩お願いだからスピードは控えてくださいってばぁ!