「な、なな何してるの」
「抱きしめてる!!」
言うと同時に、ぎゅう、と抱きしめる腕に力を入れられた。
心臓が早鐘を打っている。
「……全部、言わせてごめんな」
「なんのこと?」
耳元にかかる吐息に、ドキドキしてる。
「やっぱ、俺成長してないな。ねぇ……、美胡」
「っ!?」
急に名前を呼ばれて、身体がびくりとはねた。
まるで、自分の名前が特別な宝物みたいな気持ちになる。
「俺と、付き合ってください」
肩を掴んで身体を少しだけ離して、村瀬くんはまっすぐにあたしの目を見てそう言った。
「……っ」
心が震えるって、こういうこと?
「……美胡」
「よ、よろしくお願いします」
あたしの言葉に、村瀬くんは、あの、優しい顔で、笑った。


