「んと、はい、これまだあけてないから」
そう言って、袋に入ったままの黒タイツを差し出してくる。
「ほんとはニーハイ履いて欲しいけど、さすがに寒いからねー」
「あのー?」
早紀に寄越された衣類を抱いて、あたしはひきつった笑みを浮かべていた。
……まさか、これを着ろと?
「あ、もしかして私の前じゃ着替えづらい?じゃあ、私廊下出てるから。着替えたら呼んでね」
そう言って、早紀はあたしの返事も聞かずにリビングを出るとバタンとドアを閉めた。
「そういう…問題じゃ」
無いんだけどなー……。
だけど、せっかくここまでしてもらって断るのもな…。
あたしはしばし腕の中の可愛らしい洋服たちを見つめた。
そして、意を決して着替えることに決めた。
似合うかどうかなんて、この際どうでもいい。
今までのあたしからの卒業!!
そうだ、それだ!


