不細工なあたし


鏡の中であたしを見つめるのは、あたしの知ってる自分じゃなかった。


自分でしたのとは全然違う。


あんなに似合わないと思っていたピンクのリップグロスが、何の違和感もなくあたしの唇で光っている。


もちろん、劇的に可愛くなったわけじゃない。

ほんの少し。

…ほんの少しだけ、女の子らしくなった。

そんな感じ。

だけどその変化は自分でおそるおそるした化粧なんかよりずっと大きかった。

きっと、早紀はあたしに似合うやり方であたしを変えてくれたんだ。

ただ雑誌の真似をしてるだけじゃダメだったんだ。

同じ化粧でも、あたしを変えてくれるものもあるんだ…。



「早紀…」

「次は服だね!私、実はずっとミコの美脚に憧れてたんだよ?せっかく背丈もあって細いんだから、若いうちは思い切って脚出さないと!」


「え」


早紀はすっくと立ち上がると、ガラッとクローゼットを開けた。

可愛らしい服が並ぶ。


「サイズは多分大丈夫だよね…。私が着ると膝丈なのがミコだと多分大分短くなっちゃうと思うけど」


そう言って、早紀は可愛らしいワンピースを手渡してきた。

小花柄なんて自分じゃ絶対買わない。


「それにこれ重ねてね」

そういってさらにこちらに投げてきたのは白いニットワンピ。

「裾からそのワンピのフリルが出てね、私その組み合わせすっごい好きなの」

「はあ」