「前も言ったよね。自分では気づかないような変化でも、他の人から見たら結構大きな変化だったりするんだよ。その変化を、可愛いって思ってくれる人だって、きっといるの」
早紀は、ポーチの中からアイシャドウとアイライナー、そしてマスカラを取り出した。
「はい。目閉じてください」
にっこり笑った早紀は、やっぱりうらやましいくらい可愛らしかった。
あたしは少しだけ躊躇ったけど、言われた通り大人しく目を閉じた。
この可愛くて優しい友達は、きっとあたしを変えてくれる。
そんな魔法を持ってるような気がして。
ふわりと優しく肌に触れた感覚。
目、眉、頬、そして唇。
しばらくして、カチャ、とテーブルに何かを置いた音がした。
「…できたよ。目、開けていいよ」
早紀の声に、ゆっくりと目を開けた。
「はい」
鏡を手渡されて、あたしはおそるおそる覗き込む。
「……これ、あたし…?」
「似合ってるよ」


