「…あたし、自分に自信がなかったの」
あたしがぽつりと言った言葉に、早紀は小さく首を傾げた。
「自信…?」
「そう。なんであたしなんか、って本気で思ってて。あの子の方が、あたしより何倍も可愛いのに、って」
そう言うと、早紀は少し考えるように黙り込んだあと、まっすぐにあたしの目を見た。
「……もしかして、今も、そう思ってる?」
「え」
「自分なんか、って今もそう思ってるの?」
あたしは少しためらったけど、結局コクリと頷いた。
「ミコは、自分の顔が嫌い?」
「…うん」
可愛くないこの顔が、嫌い。
「……ミコ、化粧しても変わらないって言ったよね」
「うん」
「それって、誰かに言われたの?」
「そういうわけじゃないけど…」
「……そっか。ちょっと待ってて」
そう言って早紀は立ち上がると、一度部屋を出て行った。
少しして戻ってきた早紀の手には、可愛らしいポーチ。


