「……っ」
あたしは今まで感じたことのないような、究極に恥ずかしいような気持ちになっていた。
抱きしめる村瀬くんに何の抵抗もできないまま、ただ、硬直していた。
ゆっくりと、村瀬くんがあたしを抱きしめる力を抜いて、そして身体を離していった。
しかし、極端に縮まったふたりの距離はそのままで。
恥ずかしくて俯いたままでいると、
「城崎さん」
ともう一度名前を呼ばれ、あたしは仕方なくゆっくり顔を上げた。
「……っ」
どうして。
どうして、そんなに苦しそうな目であたしを見るの…？
悩まし気に顰められた眉、きゅっと結んだ唇。
そんな表情が妙に色っぽくて、あたしの心臓が、またギュウってなった。
「……もういちど、チャンスが欲しい」
悩まし気な表情の村瀬くんは、声もどこか苦しそうだった。
まるで、何かを我慢してるみたいに。
「……チャンスって？」
「城崎さんの隣を歩く、チャンス」
「……？」
隣…？
どういうこと？
あたしは村瀬くんを見上げたまま、小さく首を傾げた。
