「きゃ……っ」
いつもの穏やかさからは想像できないくらい荒々しい手つきで、どこか焦ったように。
村瀬くんは強引にあたしの腕を掴んで引き寄せる。
……視界が揺れる。
気付けばあたしは、村瀬くんにしっかりと抱きしめられていた。
「……!?」
自分の状況を理解した途端、かあっと顔が熱くなった。
まるで自分の身体が、抱きしめられている力とは別の何かに捕らわれているように、身動きができなかった。
「……城崎、さん」
「っ!?」
唇が耳に触れるかどうかっていう距離で、囁きに似た声がして、あたしはびくりと身体をすくませた。
背筋を、ゾクリと何かが通り過ぎて。
お腹の上の方が、ギュウって疼いた。


