「ちょっと待って、泣かないで」
焦ったような村瀬くんの声に、あたしは顔を上げた。
村瀬くんと目が合って、彼は困ったように笑った。
「……ごめん、言いすぎた。別にもう怒ってないから。あの頃は俺もガキだった。もっとちゃんと伝えなかった俺も悪いんだ」
「そんなこと」
「いや。俺も告白なんて初めてだったから、相当緊張してたし。あんな中途半端なことして申し訳なかったって思ってる」
村瀬くんは、まっすぐあたしの目を見つめてそう言った。
あたしが悪いのに。
それなのにこんな優しいことを言ってくれて、今までのあたしの罪悪感を軽くしてくれる言葉に、余計目頭が熱くなった。
「そん、なこと…、ない…」
「泣かないで。お願いだから」
戸惑ったような村瀬くんの声に、あたしは必死に涙を我慢するけど、ぽろっ、と頬を雫が滑り落ちた。
「ごめん…。泣かせるつもりで言ったんじゃないんだ」
「謝らないで…。あたしが、悪いんだから」
「いや、だからそれは違うって言って…」
「あたしが悪いの!!」
いつまでも優しい言葉をかけてくれる村瀬くんを、思わずキッと強く見上げていた。
あたしが悪いのに、そんなに謝らないでほしい。
「……ほんと、強情」
なぜか、村瀬くんは苦しそうに、言葉を押しだした。
……そして。


