龍鬼と私。

次の日、李來は唯奈を迎えに行った。
…ドアの前まで来て李來は固まる。


ガラスが割れる物凄い音、悲鳴と泣いている声。




「てめえ!そこどけろ!ガキがうるせー!」




男の怒鳴り声…父親の声だ、と李來は思った。




次にすぐ聞こえてきたのは、母親の叫びにも似た声だった。





「この子は私の大事な子よ!あなたなんかに…」




そこまで聞こえてくるとまた、物凄い音が聞こえた。




「唯奈!行きなさい!早く!」





その直後、ドアに向かってくる小さな足音と、泣き声…。
李來は我に返ってドアノブに手をかけ開けると、唯奈の母は鬼のような形相の父を必死に抑えていた。
ひっぱたかれても、蹴られても、抑えている唯奈の母に胸が痛む李來。