………あきらかに、
彼女は動揺していた。
その瞳は、乗り遅れた電車の扉など気にせず、
ただ俺を見つめて。
そして落ち着きを取り戻して、なにか言葉を発した。
…聞こえるばずがないけど。
そして、電車は…彼女を置いて走り去っていく。
「…すげえよな、夏希ちゃん」
竜也がふと、口を開いた。
「首席合格だぜ?入学式も代表挨拶してたし…。…さすが…って感じ」
「…………」
…入学式のあの声は……やっぱり夏希だったのか。
「……夏希なら、もっとレベルの高いとこだって受かったはずなのに」
「…お前…」
わかってるよ。
俺について来たことくらい。