“越谷 陽(コシガヤハル)”
そう名乗った彼の顔を見た女子たちが、
いっせいに悲鳴をあげた。
「キ…キャアアアアアア!!超カッコイイいいい!!!!」
彼は、不思議そうな顔をして、辺りを見回した。
……ていうか、うるさっ!
あたしは、耳を塞ぎながら、彼の顔をもう一度見てみた。
サラサラの黒髪がかかったその顔は、
スッと鼻筋が通って、
くっきりとした二重の瞳は、眠そうで少し虚ろ。なのに、綺麗な色をして、前を見据えている。
唇の形も綺麗に整って……。
男子に免疫のないあたしでもわかる…
そう。
美少年だったのです。

