き…気づかなかった…!
いや、隣に人がいるのはわかってたんだけど、特に気にしてなかったっていうか…。
伏せてたから、全然視界に入ってなかった!
…ていうか…。
お…男の子だああああ!!
まだ眠いみたいで、下向いてるから顔はよく見えないけど、
まぎれもない、男の子!
「……ん?」
ひゃぁあ!
こっち向いたぁああ!
「…………いや、君が立ち上がったときの音で、目は覚めたんだけどね?」
「………はい?」
あたしがテンパっていると、突然彼は喋りだした。
え?なに?
突然、なにを言い出すの?
「こう……まだ起きたくないという俺の本能が急に暴れだして…」
「………はぁ」
「たった今、本能に勝利したところです」
「………はぁ」
同じ返事を、2回繰り返してしまった。

